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社長コラム 2023.06.09

庭園紹介1 毛越寺庭園(岩手県平泉町)

静岡新聞社オトナインターンシップ

庭園を紹介するにあたり、拠点のある静岡に近い庭園からと考えたが、庭園界において、ある種別格に扱われる平泉の毛越寺庭園から紹介する。毛越寺は国の特別名勝、特別史跡に指定されている。特別○○というのは「国宝」と同等の扱いをされる庭園や史跡のこと。

寺の創建は慈覚大師(850年)、造営は奥州藤原氏二代の基衡(1150年頃?)の時代と目され、当時は南大門~中島~金堂へと橋があったらしい。遣水や築山や洲浜、写真の立石は当時の庭園と隆盛を偲ぶことができる。

国語の授業で聞いた「国破れて山河あり、城春にして草青みたり…夏草や兵どもが夢のあと」という松尾芭蕉の句は鮮明に記憶されている。 

本質的な自然に対し人工的に造られる庭園というのは、本当は対比軸にあって、そうした壮大な自然の輪廻の中で行われる造園という行為は、人間の創造性と試みを感じることができる。

言い換えれば、自然のなかに人の営みを感じる場所(またはその反対)が庭園でああるが、自然を前にした時にその微力な人間の行いや驕りは醜さとも見て取れる。何を醜いと感じるかは個人差があるが、そうした矛盾の上で成立しているのが庭園の魅力だと個人的には思う。

平泉は中尊寺金色堂が有名だが、義経が最期を迎えたとされる近くの高館やこの毛越寺は中世からの歴史を感じられる場所。

写真:毛越寺の立石組

写真:州浜

写真:近くにある厳美渓